"Scene#2"
Heathrow Airportから市内に向かうpiccadilly lineの車両の中。
私の隣に座っていた女の子が鼻をすすっている。
横目にその娘を見ると声をこらえて泣いていた。
そして、涙の量が追いつかなくなったのかメガネをとって手の平で顔を拭い始めた。
その娘が気になりながらも、
私はまっすぐ車窓を眺めているふりをした。
自分にもあった。こんな風に人前で泣いたことが。
この世が終わるほどの悲しい出来事がおこっても、
自分以外の見渡す世界は変わることなく、
いつも通りに全てが動いている。
何事もなく朝がやってきて、そして日が暮れた。
Acton Townの駅に到着すると、彼女はすくっと立ち上がり、
そして降りていった。
私は彼女の後ろ姿が消えてしまうのを見届けて、
その先のEarls Courtの駅で地下鉄を乗り換えた。
(21th,May,2009)





"Homeward bound"
誰もが、きっとそれぞれ特別な関係を結ぶ場所があるのだろう。
高校を卒業し、はじめて故郷を離れた大学生の自分は、
広島より東にあるその場所で、17まで慣れてきた体感時計より早く日の暮れを感じた。
そして、横浜よりもう少しだけ遅い広島の日暮れを想像しながらキャンパスを歩いていた。
あれから何年の月日が経ったのか。
東京と横浜と私。特別な関係で結ばれていることに変わりない。
だけども、ここにはもう家がない。
夕暮れの東京の街を感じはじめると、
駆け足で東京駅に向かってしまう自分がいることに気がついた。
(15th July,2011)



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